マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

マインドファック『マシニスト』

 

マシニスト (字幕版)

すでに1年間365日眠っていない

マシニスト

2004年公開

監督 ブラッド・アンダーソン

脚本 スコット・ソーサー

出演 クリスチャン・ベール
   ジェニファー・ジェイソン・リー

 

ストーリー
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機械工のトレバーは原因不明の不眠症であった。それも一日二日の話ではない、365日、一年間まともに寝たことがなかった。
娼婦のスティーヴィーの元に行き、深夜の空港でウェイトレスのマリアと雑談する、そんなささいな楽しみを持つことで彼は辛い毎日を耐え抜いてきた。
そんなある日、溶接工のアイバンに気を取られ、同僚の片腕を切断させるという大惨事を引き起こしてしまう。トレバーは弁解するも、そもそもアイバンという職員はいないと突き返され…。
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不眠に不眠を重ねたの男のボロボロになる心身の果てを描く生理的幻覚サスペンス。

『シャイニング』を代表するような幻覚トリップモノを作る際、重要となるのが「幻覚を見る要因」。ここをしっかり表記せず、「ただなんとなく」と曖昧にしてしまうと、せっかくの幻想的な映像美術も台無しです。その点本作は「不眠」という三大欲求に準ずる、人間に最も身近で共感の持てる要素を持ち出してきます。

本作は主にトレバーが謎の事件に巻き込まれる…という話の建前の元、「不眠」の症状により判断能力の欠如した、いわゆる自暴自棄に陥っていく様を描いています。まともな判断ができないのか、起こる出来事に一々敏感に「これは陰謀だ」と反応して、焦燥に駆られた挙句、墓穴を掘っていく姿は、正に不眠症患者そのものであり、リアリティにあふれています。

そんな「病的の極み」を描いた本作を語るのに欠かせないのが、語り草にもなっているクリスチャン・ベールの鬼の減量劇です。彼は2002年の『リベリオン』の時点のたくましいマッチョメンスタイルから本作の役作りのため30キロ近くの体重を落としました。54キロまでになったその姿はもう骸骨そのもので、当時の芸能メディアの話題(命の危険性的な意味も含め)をさらいました。

しかも当人はこれで結構楽しんでいたらしく、「45キロまで落としたかった」と嬉々として語っていたほどですから、彼もまた役者という意味で「病的の極み」を行く人だったのでしょう。

ちなみに同年、クリスチャンは『ハウルの動く城』のハウル役の吹き替えも演じており、スタジオ入りした際の回りの反応が如何なものだったか気になるところです。

TSUTAYA

 

リベリオン』のクリスチャン。体は健康そのもの。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 本作のクリスチャン。これでまだ痩せたかったというから恐ろしい…。