マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

『戦場のアリア』 ~あなたはクリスマスをどう感じますか?~

戦場のアリア スペシャル・エディション [DVD]

その聖なる日  銃声が止んだ

戦場のアリア

2005年公開


監督 クリスチャン・カリオン

脚本 クリスチャン・カリオン

出演 ダイアン・クルーガー
   ベンノ・フユルマン
   ギヨーム・カネ
   ダニエル・ブリュール

 

ストーリー
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第一次世界大戦、フランス北部、そこにはフランス・イギリス・ドイツ軍が塹壕を挟み、銃弾入り乱れる地獄絵図があった。
そんな中、ドイツ兵でテノール歌手のニコラウス・シュプリンクの妻、歌手のアナ・ソレンセンが最高司令部へ歌を披露するという名目のもと、夫の元へ会いに来る。
そして、あろうことか彼女は夫と別れたくない一心で前線にまでついてくる。
この時調度クリスマス、イギリス軍内でせめてもと鳴らし始めたバグパイプの音に続き、ドイツ側からニコラウスの歌声が続き、
奇跡が始まった…。
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クリスマスをテーマにしたマインドファックも中々見つからないので今回は個人的に好きな映画を一つ。
ケーキとサンタのイメージしか定着していない私達日本人にとっては、クリスマスは正月の前座に過ぎないと感じている方も多いでしょう。その上巷では「性夜」とかいう不名誉なフレーズをつけ、クリスマス反対を唱えるのがちょっとしたブームなっているフシもあります。
では本場のクリスマスとはどんなものでしょう。「向こう(キリスト圏)のクリスマスは日本で言う正月のようなものだ」とよく言われますが、宗教的文化による感覚の違いが絡んでくるため、そう簡単に混同できるものではありません。それに「正月に奇跡が起こる」とクリスマスのフレーズをそのまま当てはめてもしっくり来ませんしね。
そんな難航するクリスマスに対する理解を助けてくれるのが、泥沼化した戦場を舞台に、「本当のクリスマス」がどうあるべきかを説いた、本作「戦場のアリア」です。戦場という過酷な環境の中で、「クリスマスだから」という理由の元、戦いを止めるという、ある意味「異常行動」をとる兵士たちの姿を描くことで、彼らにあって、私達にない「クリスマスの心得」がいかなるものかを教えてくれます。
「キリストの生まれた日」「神に感謝する日」「家族と過ごす日」という要素を上げただけではいい表せない、しかしその文化を知るものならだれでも感じ取れる「神聖さ」、それを共感し合える多くの人々が、年に一度、「クリスマスだから」と別け隔てなく手を取り合おうとする。その光景は一歩引いて見れば正に「奇跡」であり、クリスマスが他の何物にも例えようがない「唯一無比の特別な日」である証明になります。
それを本作は、どこで生まれ育った人間でも理解できるように、宗教的要素にとらわれず、戦場という環境等、要素要素を上手く使い、人間の感情に訴えながら説いていきます。ですから知識が全くなくても「クリスマスだから」の精神がいかなるものかよく分かるはずです。

TSUTAYA