マインドファック『ハイテンション』
さあ 逃げまどえ
ハイテンション
監督 アレクサンドル・アジャ
脚本 アレクサンドル・アジャ
グレゴリー・ルヴァスール
出演 セシル・ドゥ・フランス
マイウェン
フィリップ・ナオン
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友人同士であるマリーとアレックスは、勉強に専念するためアレックスの故郷へとやってきた。
広大なトウモロコシ畑が特徴の穏やかな空気の中の一軒家でアレックスの家族に快く迎えられたマリー。
しかしその晩、不審な何者かが家の中に突然侵入してきて───。
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突然!襲撃!!血しぶき!!! それがスプラッターだ!!!
殺風景な片田舎に帰省した女学生等に降りかかる理不尽な悲劇を描いたフレンチスプラッター。
突然家に侵入した浮浪者風の男に家族を惨殺され、捕まり縛り上げを食らった挙げ句、誘拐されたマイウェン嬢を助けるためにセシル嬢が泥と血にまみれながら奮闘する羽目になる展開は陰惨で、いったいどこがハイテンションなのかと疑いたくなりますが、よくよく見てみると、手すりの支柱の間に首を挟ませ机タックルで頭部をもぎ取ったり、材木に鉄線巻いた擬似釘バットで滅多打ちにしたり、レザーフェイスよろしくマルノコ振り回し、モノホンの固い車のフロントガラスを怪我覚悟でぶち破ったり、仕舞いにはカーチェスの末の空中横転大クラッシュまであったりと、まともなテンションなシーンはほぼ皆無であったと気づかされます。
特にすごいのは終盤。物語の根底を覆すオチを披露し、「まいったか!!」と見せつけ、カタルシスに浸るのも束の間、何事もなかったかのように、さらにテンション上げてスプラッターショーを再開するサービス精神には脱帽するしかありません。
演技の面でも評価点は高く、主演のセシル嬢に関してはクライマックスの4輪マルノコ解体シーンなども含め、鬼の形相ではっちゃけてくれています。ラストシーンでの表情も必見。
余談ですが、本作のメイクには「サンゲリア」や「砂の惑星」等で活躍したベテランのジャンネット・デ・ロッシが参加しています。メイキングムービーで過去に担当した監督の名前を羅列して、思い出話なんかを語ったりするのですが、その際「デヴィッド・リンチは正気じゃない監督」とさらっと言っていたのは抱腹モノでした。
マルノコマルノコマルノコマルノコマルノコマルノコマルノコマルノコ!!
この後、机の脅威がオヤジを襲う…!!!