マインドファック『ジャケット』
拘束されたい
時空を超えても
ジャケット
2005年公開
監督 ジョン・メイバリー
脚本 マッシー・タジェディン
出演 エイドリアン・ブロディ
キーラ・ナイトレイ
SF作品の歴史は古く、タイムマシン一つとっても、色々な種類が存在しています。『12モンキーズ』ではごてごてした、如何にもな大掛かりな鉄のマシンでしたし、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ではコンパクトに車型でした。しかし、古今東西どこを探しても拘束衣と監禁室でタイムスリップする作品は本作『ジャケット』ぐらいなものでしょう。
ストーリー───────────────────────────────────────────────────────
1992年、かつて湾岸戦争で頭部に重症を負い、記憶障害を持ってしまった元軍人ジャック・スタークスは、ある事件に巻き込まれ、冤罪から精神病院に送られてしまう。
そこで彼は拘束衣を着せられ恐ろしく狭い監禁室に入れられる実験的な矯正治療を受ける。
しかし、彼は目を覚ますと全く見知らぬ場所にいた。そして、そこはなんと15年後の2007年であった。
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拘束具着せられて換金部屋に押し込められたストレスでタイムスリップを果たすというトンでも設定に目がいきがちですが、本作における注目点は「未来」にタイムスリップすることにあります。
このタイプのプロットの場合、過去へ戻り、問題の種を解決するのが定石でした。しかし本作は全てが済んだ未来へ行き、そこにある「結果」からこれから起こることを予測し、現在の問題解決に当てるという、新しい構成をとりました。
よくある「予知」とは違い、おきる未来は変えられないので、ジャックの対処にも限界があります。そんなどうしようもない境遇におけるジャックの行動は故に、一つ一つが意義深く、且つドラマ性に溢れたものになっているのです。