マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

マインドファック『12モンキーズ』

12モンキーズ [DVD]

み・ん・な・消・え・る
12モンキーズ

1995年公開

監督 テリー・ギリアム

脚本 デイヴィッド・ピープルズ
        ジャネット・ピープルズ

出演 ブルース・ウィリス
   マデリーン・ストウ
   ブラッド・ピット

SFにおけるタイムスリップものの肝は何と言っても時間を越えた伏線劇につきます。
過去の世界でのあの行動が現在にああつながっているのか、という感心をさせられる様な構成の上手さが求められる訳です。
本作『12モンキーズ』はそんな伏線の妙を主軸に、それを実に「皮肉」に表現した高密な作品となっています。

 

ストーリー
───────────────────────────────────────────────────────
2035年、世界はウィルスによって全人口の99%が死滅する事態に陥っていた。犯罪者のジェームス・コールは恩赦を条件に、研究機関よりタイムマシンで過去に戻り、ウィルスを散布したと思われる「12モンキーズ」なる集団からワクチン用のウィルスを回収することを強制される。
タイムマシンで過去に戻ったジェームスだが、手違いで「12モンキーズ」の誕生前の予定より6年前の1990年に送られてしまい、異常者として捕まった彼は精神病院に送られてしまうのであった…。
───────────────────────────────────────────────────────
まず、本作は1962年のSF映画『ラ・ジュテ』の要素を根底に製作されています。
ラ・ジュテ』自体も伏線に重点を置いた名作で、独特の表現方法とどこか無機質な雰囲気が特徴でした。
12モンキーズ』もその特色に習い、外は人っ子一人いない寂れた廃墟の山。居住区の地下も金網の鳴る音がもの寂しい、鉄々しいこれまた無機質で狭苦しい空間で、『ラ・ジュテ』同様、絶対住みたくない未来世界を演出しています。
ストーリーの方も色々インスパイアされているようで、過去の意味深な回想から始まり、その回想シーンに向けて物語が不気味に行進していく様は、脚本家が如何に『ラ・ジュテ』の良さを理解しているかが伺えます。

さらに『12モンキーズ』独自の特色としては、上記した伏線の皮肉にあります。作中、四苦八苦しながら最悪の未来を何とかしようとするジェームスの行動が未来世界でことごとく「裏目」に出ていく様はちょっとしたホラーとも言えるでしょう。

後は主演があのブルース・ウィルスなのも注目です。『ダイ・ハード』でイピカイエざまあみろしていた、あの頼もしい背中は、本作では馴れない環境に怯えるわ、ヒロインのマデリーン・ストウに手を引かれオドオド歩くわで、非常に心細いものに見えてきます。
しかし裏を返せば、それだけブルース・ウィルスという俳優の演技力が高いということなんですね。

TSUTAYA