マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

マインドファック『プライマー』

過去に戻ることは可能だ

ただ “タブー”にさえ触れなければ…

プライマー

監督
脚本
撮影 シェーン・カルース
編集
音楽
製作

主演 シェーン・カルース
   デイヴィッド・サリヴァン

ドッカンバッカンの『スターウォーズ』のような派手なSFも楽しいですが、地味でも、シナリオに力をいれている難解なSFも魅力的で棄てがたいものがあります。
本作『プライマー』は日本でこそ無名ですが、海外のSFサスペンス界では、その話の濃厚さで、ランキングの常連を維持している、おすすめの逸品です。

ストーリー
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アメリカの郊外で、機材のベンチャー事業に性を出していたアーロンとエイブ、
ある日彼らは重力軽減装置の実験中、装置のボックスに「中の物質を過去に戻す」効力があることを発見すし、彼らはこれを人間に応用できないかと考える。
その後日、アーロンはエイブに連れられて何故かある貸倉庫にやってくる。
そこでエイブに渡された双眼鏡で覗いた先には、なんともう一人のエイブの姿があった──。
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過去にさかのぼるという、タイムトラベルの基本を周到しながら、一つの時間軸に複数の人間が未来から行き来することで、誰がどこの時間から来たのかという、数学の問題が如くの奥深さを構成しているのは見事の一言。

そして、注目なのは派手な効果は使わず、人物たちの織り成す場の雰囲気でSF感を表現した意欲作であるという点。

一歩間違えれば単なるダメ映画に成り得てしまいそうな試みですが、主役二人の神妙な駆け引きをメインに添えた、サスペンス性のあるシナリオ、カメラ効果だけで表現できるSF演出を、決してチャチなものに見させないように、徹底的に掘り下げられた裏付けのSF設定など、作風を上手く調理するための根柢がしっかりしているので、一流の娯楽作品として十分に仕上がっています。

TSUTAYA