マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

マインドファック『オーロラの彼方へ』

オーロラの彼方へ [DVD]

もう一度 逢いたい 話したい

オーロラの彼方へ

2000年公開

監督 グレゴリー・ホブリット

脚本 トビー・エメリッヒ

出演 ジェームズ・カヴィーゼル
   デニス・クエイド

ストーリー
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30年ぶりに太陽フレアの影響でニューヨークにオーロラが観測された頃、同棲していた恋人にも愛想を尽かされ完全に無気力とかした刑事ジョン・サリバン。
彼がその時思うのは父フランクのことであった。自らをチーフと呼び可愛がり、倉庫の火事に巻き込まれて死んだ消防士だった父との楽しい思い出。
父がまだ生きていてくれたら…と思いにふける彼はふと父の残したアマチュア無線機をいじってみた。
すると向こうから応答があり、対応していたジョンであったが、よく聞けば何かがおかしい、無線機の番号が同じなら、時代感も互いにどこかずれている。
そして遂にジョンは気づいた。自分が話している相手がかつて死んだ父であることを。無線が30年前の自宅につながっていることを──。
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オーロラの影響で過去と未来が繋がり、声を通して奇跡の交流を行う親子を描いたSFヒューマンサスペンス。実はオーロラがそこまで重要じゃないのはヒミツ

死んだ父との時を越えた交流というコンセプトだけでも十分ヒューマンドラマとして及第点の本作ですが、本作の面白みは何と言っても、SFものでよくタブー扱いされる「パラドックス効果」を何の躊躇もなく使用していく点にあります。

バタフライ・エフェクト」「プライマー」など、時間を移動するSFでは、過去を変えるパラドックスは倫理的、そして物理的に最もマズイ行為であると物語中で危険なものとして扱われる場合が多いのですが、本作では、せっかくここまで会話しておいて「父さん明日死ぬよ」だけで終わるのはどうかということで、何とか父を延命させようと、ジョンは父フランクに死因を伝え、フランクに注意を呼びかけます。

しかし、こうして危機を脱しても、未来を変えた影響で更にまずい事件をもたらすことになったりと、そこは展開として最低限のお約束を見せますが、その後は中々どうして、事件の起きる過去で生の証拠を手に入れ、情報の整理が進んだ現在でそれを元に調査したり、過去の世界で発見した証拠物品をDNA検査の発達した現在に送るために30年置いても動かないところに放置することでクリアしたりと、巧みに状況を利用した打開策を次々と打ち立てていく、痛快なサスペンス要素として、上手く組み入れていきます。これらの要素のおかげで、中盤以降は実質、情報戦の有用性を説いた内容と言っても過言ではなく、ヒューマンとは思えぬ高揚感を促してくれます。

そして焦点をSF要素に向けたおかげで、肝心の「親子愛」もまた、無駄ないがみ合いをつける必要もなく、互いに難関を協力して乗り越えるという、取っ付き易い非常にスマートなものに仕上がっているのも特筆です。

 

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 無線機一つで何でもできる。正に情報化社会の先駆け。

TSUTAYA