マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

マインドファック『ゲーム』

私は盲目であったが今は見える
   ──ヨハネ第9章25節──

ゲーム

1997年公開

監督 デヴィッド・フィンチャー

脚本 ジョン・ブランカトー
   マイケル・フェリス

出演 マイケル・ダグラス
   ショーン・ペン

ストーリー

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人間味がなくなるほどに忙しなく事業に精を出してきた実業家ニコラス、父が自殺した年と同じ48歳を迎えた日、珍しく彼の弟が姿を見せた。
そして弟は誕生日プレゼントとして、きっと為になるからと、CRSという会社の招待状を渡す。
最初は気にもとめていなかったが、たまたまCRSのオフィスを見つけ、そのまま軽い気持ちでそのCRSの主催する「ゲーム」に参加することを決める。
詳しい日取りも教えられないままオフィスを後にした彼が思うのは、偶然知り合った「ゲーム」の体験者たちの「人生が変わる」という言葉。
その後、ニコラスの回りで不可解な事件が起こりだす…。
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「ゲーム」をテーマにした作品といえば「saw」系統の不条理ミステリーを連想する人も多いでしょう。現に日本でも似たような作品は多々作られていますし。
しかし、ストレートに「ゲーム」と題された本作はそれらとはひと味違います。何者かが主催する「ゲーム」に巻き込まれる点は同じでも、それが本当に「ゲーム」なのかという疑いを全編に散りばめ、物語の根底を揺るがせる構成を仕掛けてきます。
本編中、「これはゲームです」と意味深にそして念入りにニコラスに忠告を促してきますが、異常事態の連続で緊迫してくる状況の中ではそれがブラフかどうかもわからなくなります。これは観客も同じで、たとえ予備知識を仕入れてラストも知っていたところで、それでも疑問を感じずに入られなくなります。むしろあの前情報のほうがブラフだったんじゃないかなんて考えるほどに。
じゃんけんで「俺はパーを出す」と発言され、それの真偽への疑問からさらなる思考の迷宮に入り込み、逆に何を出すか予想できなくなるが如くの状況を、映画で見事に表現した本作は、ある意味一番「ゲーム」の醍醐味を理解している作品と言えましょう。

 

TSUTAYA