マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

『エグザム』 ~戦場の兵士と就活生、何が違うのだろう~

世界一危険な就職試験

エグザム

監督 スチュアート・ヘイゼルダイン

脚本 スチュアート・ヘイゼルダイン

主演 

ストーリー──────────────────────────────────────────────────────

年収1億円の条件を提示したある大企業の就職試験に最後まで勝ち残った8人の男女。
そしてその最後の試験、彼らは蛍光灯と机、警備員が立っている出入口だけの殺風景な会場に案内された。
やがて試験監督が現れ、彼らにルールを説明する。

1.試験監督及び警備員と会話を交わしてはならない。
2.試験用紙を如何なる理由であれ破損してはならない。
3.いかなる理由があろうと、試験会場から退出してはならない。

説明後試験監督は退出、タイマーの起動とともに、一斉に試験用紙をめくる、しかしそれは一切の文字すら書かれていない、文字通りの白紙であった───。

──────────────────────────────────────────────────────

就職活動が活発化してきた今日、(人事ではないにしろ)多くのサイト、ブログで支援情報がアップされ始めてきてますね。
当ブログもそれにキチンとあやかって今日は「就活映画」をとりあげます。
といっても、本来なら『プラダを着た悪魔』や『幸せのちから』等、「ガンバレ就活生!!」な内容のものをだすべきなのですが、ブログのテーマがテーマですので、今回は斜に構えて、鬼の就職戦争ミステリー『エグザム』を紹介します。
全体の流れとしては、真の「問題」の答えとは何かを探すため、ルールの穴をつき、立ち上がったりチーム組んだり物ブッ壊したり、試験生が互いに協力しながらあれやこれやと試行錯誤を繰り返すというもの・・・なのですが、そのうち何か怪しいだとか、性格が気に入らないだとかで、どんどん「仲間」を出し抜いていきます。
終盤になる頃には、もう「試験」の形式をとっていた頃が懐かしくなるほどの惨状に。
しかし、本作の見どころはそんなドロドロした人間模様の裏で、「冷静さの必要性」を説いているところにあります。作中、考えを持ち合って、グループディスカッションの模範のような共同作業で斬新極まりない試行をほどこしていく試験生ですが、集団心理に身を任せ色々やってみる前に、一歩引いた目線で考えれば、「答え」をみつけるのはそんなに難しくない、そんな諫言のような思惑を全編通してしみじみと伝えてくれます。
たしかに就活では、ライバルを蹴落とす冷酷性や、「熱意」という名の、回りを振り回すほどの獣性みなぎる自己主張性は重要です。しかし本当に肝心な場面に必要なのは状況をよく判断して的確な行動に移るための「冷静さ」なのではないでしょうか。
そうなると本作はまさに就活の縮図のような作品と言えましょう。

TSUTAYA