マインドファック『ファイト・クラブ』
ルールその1:「ファイトクラブ」のことは
誰にも言うな
監督 デヴィッド・フィンチャー
脚本 ジム・ウールス
主演 エドワード・ノートン
ブラッド・ピット
ヘレナ・ボナム=カーター
前回は所謂「隠れマインドファック」について話しましたが、本作『ファイト・クラブ』はその中でも特に優等生と言える作品です。
多くの人が『ファイト・クラブ』と聞いてアクション映画を想像したでしょう。
しかし、例によって『ファイト・クラブ』はアクションではなく、立派なマインドファック系サスペンスなのです。
その騙しっぷりの影響は大きく、TSUTAYAですら未だに本作をアクション映画と間違えて登録しているほどです。
しかし、だからといって駄作なのかと言えば、そんなことはありません。
ストーリーは、平凡な自分に嫌気がさしていた会社員の主人公が、タイラーなる危険な魅力を持つ男と出会い、共に、同じく鬱憤を溜めた人間の為の「殴りあい」の場『ファイトクラブ』を設立させるのだが…。という、平凡だった人物が暴走する、サイコ系の定番ですが、本作のマインドファックとしての質は高く、観客へのミスリードも難なくやってくれます。
さらに、主役のエドワード・ノートンの演技も素晴らしく、彼がクラブの資金を得るために自分の会社の上司の前で自分で自分をタコ殴りにし始め、駆けつけた警備員にあたかも上司に酷いパワハラを受けた様に演出して脅しをかけた名シーン「一人やられ芸」は拍手なしでは観れません。