マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

マインドファック『バンデットQ』

バンデットQ 製作30周年記念 スペシャル・エディション [DVD]

彼らは歴史を「作った」のではない
          「盗んだ」のだ!

バンデットQ

1981年公開

監督 テリー・ギリアム

脚本 テリー・ギリアム
   マイケル・ペイリン

出演 クレイグ・ワーノック
   シェリー・デュヴァル
   ジョン・クリーズ
   ショーン・コネリー

ストーリー

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イギリスの住宅街に住む少年ケヴィンは、ある晩、自室のクローゼットから突然騎士の一団が飛び出して消えるのを目撃する。
驚いて回りを見渡しても壁もクローゼットも元のままで、このことを両親に話しても信じてもらえない。
証拠を撮ろうと次の晩カメラと懐中電灯を忍ばせ布団に入る。そしてクローゼットから物音が聞こえ、今度は6人の小男たちが這い出てきた。
彼らが言うには、自分たちは時を股にかける強盗団だという。その後自室の壁に空いたワームホールにその場の流れで入ったケヴィンはそのまま彼らとともに別の時代のお宝を探すたびに出ることに…。

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未来世紀ブラジル」のテリー・ギリアム監督による子供向けを装った痛烈な風刺ファンタジー。
押し入れから現れた、これまた可愛くない小人たちと一緒に中世ヨーロッパや古代ギリシャへと時間を移動してお宝を探すという、昔ながらの子供向け冒険譚の形をとっていますが、よく観ると所々にギリアム流のブラックジョークが散りばめられており、(子供向けで押したかった日本上映ではほとんどカットされた)「子供向け」は飽くまで上っ面だけで、実際は「子供の心を捨てきれないでいる大人向け」の作品であることが伺えます。
そんな本作の醍醐味は何といっても、この「子供向け」の皮に隠れた「大人へのメッセージ」を探すことにあり、観客もまた、「宝探し」ができる、美味しい仕組みになっています。
そして何より、当時話題を呼んだ「子供向けならざるラスト」は、この手の作品によくある「現実賛美」に対するアンチテーゼとして強烈なインパクトがあり必見です。

TSUTAYA