マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

マインドファック『トライアングル 殺人ループ地獄』

トライアングル [DVD]

私が私を殺し続ける
トライアングル 殺人ループ地獄

2009年公開

監督 クリストファー・スミス

脚本 クリストファー・スミス

出演 メリッサ・ジョージ
   マイケル・ドーマン
   レイチェル・カーパニ
   ヘンリー・ニクソン
   リアム・ヘムズワース

 

ストーリー
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育児の骨休みにと、友人たちとヨットセーリングに出かけたジェス。しかし彼女たちを乗せたヨットは突如現れた嵐によって転覆してしまう。その後難を逃れた一行は偶然姿を現した客船に避難する。
だが、客船に乗っていたのは船員ではなく覆面をかぶった殺人鬼であった。その襲撃にことごとく殺害されていく一行、そんな中、何とか最後の一人になりつつも殺人鬼を海に叩き落とすことに成功したジェス。
事件は終わったと胸を撫で下ろす彼女であったが、ふと先般から海面を覗くと、そこには何と自分たちと同じ姿の一団が転覆したボートの上で助けを求めていた…。
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船上で起きる殺人劇に無限に巻き込まれる不条理ルーピングスリラー。
殺人鬼に襲われて、何とか奮闘して一人生き残るという、普通のスプラッターのプロット一本分の展開があらすじという、斬新さもさることながら、巷で言う「無限ループ」を題材にした作品の中ではかなり真っ向から勝負した内容なのも注目点。
謎の物音が聞こえたと思ったら実はそこに2週目の主人公が潜んでいた、といった具合に伏線を張り巡らせ周回するたび明らかになっていく周回ネタは当然として、息絶え絶えな人物が死に絶えた場所に過去の周回で殺されたのであろう同一人物の死体が山積みになっていた等、永劫に続くループの恐ろしさがひと目で分かるように配慮された演出も独特で面白い。
SF的考察も中々練っているらしく、「前の周とは違う事をすればいいんじゃない?」とだれでも思いつきそうな打開策の防波堤として、「違うことをした後の時系列のループ現象」が参入してさらにややこしい事態になるという難解ながら、なるほどと思える、このジェスからしてみれば絶望的設定も本作を単なるB級映画に終わらせない要因の一つです。
「殺人ループ地獄」というB級スプラッター臭全開の邦題に反して、殺しよりも難解なループ現象に焦点をブレずに当て続けた、実に筋の通った快作といえるでしょう。

TSUTAYA