マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

『セルラー』 ~命の差し入れ 電話一本~

セルラー [DVD]

見知らぬ部屋 見知らぬ男たち
 最後の望みは 電話の向こうの見知らぬ人

セルラー

2004年公開

監督 デイヴィッド・R・エリス

脚本 クリス・モーガン

製作 ディーン・デブリン
   ローレン・ロイド

出演 キム・ベイシンガー
   クリス・エヴァンス

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生物教師のジェシカは突然自宅に押し入った男たちに誘拐される。誘拐された先の家の一部屋に監禁された彼女は、犯人が破壊した電話を応急修理し、何とか電話を繋げ助けをま求めようとする。そしてようやく繋がった先は、見ず知らずの若者ライアンの携帯電話であった。
助けを求められたライアンは何かのイタズラかと全く信用しなかったが、切迫した向こうの状況を聞くうちに、状況を理解し、ジェシカを助ける為に奔走することに…

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テンポ、ギャグ、限定されたコンセプト、狭すぎず広すぎないストーリー展開、考えられた打開案の数々、正に娯楽サスペンスの模範ともいうべき作品。
開始5分で主役が誘拐される展開もそうですが、本作はほのかに入れる笑いが実に絶妙。ジェシカに息子が危ないから保護して、と頼まれたライアンが学校へ急行した際、息子の名前が「リッキー」であったため、校舎内で必死にリッキー・マーティン!リッキー・マーティン!」と歌手と同じ名前を叫ばされるシーン等、話の流れを切らないギャグ描写は娯楽作品における理想像。
無論サスペンス部分も練られており、不安定な電波を切らずに事を進めなければならないので、トンネルや高いところは移動できないという制限要素や、捕まったジェシカが自分の専門知識をフルに使って脱出を試みるとった展開は、サスペンスを見慣れた人間でも飽きることはありません。
そして何より、主人公たちがちゃんと困難を自分たちの行動だけで切り抜けている点も注目です。キャラクターの魅力は自発性にあると聞いたことがありますが、本作のキャラは全員(囚われたジェシカも含めて)、今できる最善の発想で事の解決を図ります。なのでじれったさが微塵もなく、且つ、行動の的確さに対する関心からの好感度の上積みで、全てのキャラが好かれるようになっています
好かれるキャラは『設定』ではなく『行動』で作れ」という製作者の考え方が功を奏したものと言えましょう。

 

TSUTAYA