マインドファック映画欄

主にサスペンスやマインドファック系の洋画の紹介、たまに雑記を少々

マインドファック『1.0〔ワン・ポイント・オー〕』

1.0〔ワン・ポイント・オー〕 [DVD]

不条理系ナノテク・スリラー

1.0〔ワン・ポイント・オー〕

2005年公開

監督 ジェフ・レンフロー&マーテン・トーソン

脚本 ジェフ・レンフロー&マーテン・トーソン

出演 ジェレミー・シスト
      デボラ・カーラ・アンガー
      ウド・キア
      ランス・ヘンリクセン
      ユージン・バード
      ブルース・ペイン


「恐怖」を描くのに果たして「対象」は必要なのでしょうか?
ジェイソンや貞子の様な明確な恐怖の対象を置かなければ恐怖演出は成り立たないのでしょうか?
そんなことはありません。「何もないのが怖い」、そんな恐怖描写も確かに存在します。
本作『1.0〔ワン・ポイント・オー〕』がそれを証明してくれます。

ストーリー

  • 老朽化したアパートに住む、ミルクを異常に買い込む点を除けば普通のプログラマー、サイモンは、ある日自室に送られていた謎の空の段ボール箱を発見する。いたずらかと思いすぐに廃棄したサイモンであったが、しばらくするといつの間にかまた段ボール箱がドアの前に、それからというものサイモンの回りに異変が…。

上記した段ボール箱は一見本作における恐怖の「対象」に見られがちですが、中身のないなんの変哲もないただの段ボールで、恐怖を煽る小道具に過ぎません。
本作の魅力は、そんな特別怪しい要素など微塵も感じられない状況下で自分達が徐々におかしくなる精神的恐怖とその恐怖の矛先をどこに向けていいかわからないもどかしさにあります。
古びたアパートは雰囲気があり、ライトの一つとっても恐怖心を煽られますが、基本は積極的に怖がらせようとする特別派手な演出はありません。
しかし本作を全体を包む緊張感で面白さをカバーしており、固唾をのみ続ける92分間は飽きることがありません。
登場人物達が訳のわからない不安に右往左往している内に
「手遅れ」になっていく様は
並みのホラーよりも恐ろしいものかあります。

TSUTAYA