マインドファック『マルホランド・ドライブ』
わたしのあたまはどうかしている
2001年公開
監督 デヴィッド・リンチ
脚本 デヴィッド・リンチ
出演 ナオミ・ワッツ
ローラ・ハリング
ジャスティン・セロー
アン・ミラー
一昔前、マインドファックを世に憚らせたカルト映画ブーム、
そのブームの頂点にいた人物こそ名作『イレイザー・ヘッド』の作者にしてカルト映画界の神様「デヴィッド・リンチ」でした。
ブームの過ぎた今も尚、その後光は衰えを見せない、そうファンに知らしめたのが現在(2013)においての最新作『マルホランド・ドライブ』です。
ストーリー
- 夜のマルホランドドライブで起きた事故から生還した黒髪の女性、彼女は事故の影響で記憶を失っており、フラフラと足取りをハリウッドへ向ける。そこのとあるアパートに迷い混んだ彼女は女優志望の住人べティに発見され、名前を聞かれた彼女は、部屋にあったリタ・ヘイワースのポスターからとっさに「リタ」と名乗り、べティに記憶喪失と打ち明ける。
べティは親身にリタの回復の手助けをすることにするのだが…、
元々テレビドラマの企画だったのですが、内容がとてもお茶の間に流せるものじゃなく、ボツをくらい、それを映画にもってきたといういわくもの
不安を煽るためだけに登場するガラス越しの会談室や謎の怪物などリンチお得意の不気味な演出は癖になるものばかり。
前衛的な演出を売りにする作品ではありますが、確かな構成力が根底にあるからか、その全てに「何か意味があるのでは」と考えさせられてしまいます。
全く荒唐無稽に見えて、実は考察する余地をしっかり残している、一度で二度美味しい形をとっているのです。
細かな演出一つ一つに無論説明などは入りません。しかしそれらがちゃんとストーリーに関連していると確信させられてしまうのはリンチの魔技とも言えましょう。
そしてリンチ作品には珍しくテーマが明確(わかりやすい)なのもポイント。
ですから、たとえ考えるのが苦手でも一応は話の概要は理解できるようになっています。
決して元気になれる内容ではありませんが
劇中の若者を対象としたリンチの強烈な風刺は、これから社会人になる学生には良い教訓 になってくれる………はず。