『天使と悪魔』 ~いざヴァチカンへ スタイリッシュ観光~
ヴァチカンを光と闇が包み込む――
天使と悪魔
2009年公開
監督 ロン・ハワード
脚本 デヴィッド・コープ
アキヴァ・ゴールズマン
原作 ダン・ブラウン
『天使と悪魔』
出演 トム・ハンクス
アイェレット・ゾラー
ユアン・マクレガー
ステラン・スカルスガルド
2006年、数々のキリストネタを盛り込み宗教ロマンミステリーの名作として君臨した「ダヴィンチ・コード」。
その3年後にまさかの続編として公開された本作『天使と悪魔』は、前作に勝るとも劣らない、素晴らしい宗教ミステリーに仕上がっていたのでした。
ストーリー
- 秘密結社イルミナティと名乗る者達のテロを阻止するため、バチカンへと知識を借りに呼び出されたハーバード大学のロバート・ラングトン教授、その卓越した宗教学の知識で難問を解読して行くが、そこには先日盗まれた、核エネルギーを凌駕する反物質が敵の手にあるという恐ろしい事実があった…。
原作でいうなら、本作は「ダヴィンチ・コード」の前日談にあたり、舞台も前作が欧州全般だったことに比べ、バチカン限定と少々狭まった感はありますが、名所を巡りながらテンポよく謎を解いていく様式は健在で、まさにスタイリッシュバチカン観光とでもいうべき構成で楽しませてくれます。
合間に入るラングトン教授のキリスト豆知識もさることながら、今回はキリスト教の総本山と言うべきバチカンが舞台ですから、コンクラーベ等、「組織」としてのキリスト教をテーマに、私達日本人があまり知らないキリスト文化を映し出しているのも魅力の一つです。
物語自体も、ラストまで全く気の抜けない秀逸なもので、宗教に知識がなくても十分一流の娯楽作品として仕上がっているのは流石です。